海外M&Aとは【目的・手法・メリット】

目次

海外M&Aとは

海外M&Aは譲渡事業または譲渡企業が国外に存在するM&Aを指します。
海外M&Aは、国内のM&Aに比べて大規模案件となることが多いですが、当社では個人の方が買収可能な会社や事業も多く存在しています。国内でなかなかよい案件が見つからない場合にも提案できる案件が多くございます。

基本的に海外M&Aを行う日本企業は海外展開を見据えた大手企業が多いです。当社は現地に専門スタッフが在中しており、どんな方にもマッチした会社をご提案させていただきます。

海外M&Aは日本企業と海外企業との取引になるため、風習や言語だけでなく、税制や法制度なども異なります。そのため、海外M&Aを実施する際は、国内のM&Aより幅広い知識が必要です。
当社では海外M&Aの実績豊富であるため、初心者でも容易に取り組むことが可能です。
近年、グローバル化が進む中で、日本企業は対外直接投資にかける額が増えています。そのため、日本国内企業同士のM&Aが増加傾向にあるのと同様に、海外M&Aも全体推移は増加傾向です。

海外M&Aの目的

日本企業が海外M&Aを実施するのは、主に以下のような目的があります。

  • グローバルマーケット開拓
  • 新製品の開発
  • 経営コストの削減

それぞれの目的について解説していきます。

グローバルマーケット開拓

物価高騰による商品やサービスの価格上昇や少子高齢化の影響による消費者の減少で、日本国内の市場は縮小傾向にあります。海外マーケットに自社の商品やサービスを展開することを目的として、海外M&Aを実施する企業も多いです。
海外M&Aを実施することで、日本企業は海外市場に日本の商品やサービスを持ち込むことが可能になります。

譲渡企業が拠点とする地域のマーケットを開拓することが期待できるだけでなく、当該地域で未発達の業種や事業の場合は競合企業が少ないため、大きな利益を得られる可能性があるでしょう。

また、自社で海外マーケットの調査や販路の開拓を行うよりも、元々展開している海外企業をM&Aにより買収した方が少ないコストで海外進出できるため、それを目的のひとつとすることもあります。

2)新製品の開発

海外M&Aによって、自社にない技術やノウハウ、まだ日本では知られていない商品や技術などを獲得できる可能性があります。

このような無形資産(研究開発、ノウハウ、技術、ブランド等)を獲得・転用することで、譲受企業は新製品の開発を期待でき、さらに大きな利益を得られる可能性があります。

3)経営コストの削減

近年、日本には安価な海外製品や食品などが多く輸入され、価格競争が激化している傾向があります。海外企業をM&Aによって買収し、生産拠点を人件費や原材料費などが安い国に移すことで、同性能の商品をより安価に作り出すことができます。

また、日本より税率の低い国もあるため、法人税などの税負担が軽減されるケースもあります。このようなコスト削減を目的に、海外M&Aを実施して海外へ拠点を移す企業も増えています。

海外M&Aの種類

海外M&Aは、譲受企業と譲渡企業の組み合わせにより以下の4種類に分類されます。

売り手買い手
OUT-IN型国内企業海外企業
IN-OUT型海外企業国内企業
IN-IN型国内企業国内企業
OUT-OUT型海外企業海外企業

海外M&Aの手法・流れ

基本的な流れは以下の通りです。

1)譲渡企業と譲受企業のマッチング
2)秘密保持契約の締結
3)基本合意と買収監査
4)最終合意
5)クロージング

海外M&Aで利用される手法については、国内のM&Aでも用いられることが多い株式譲渡が多いです。

海外M&Aのメリット・デメリット

ここでは、日本企業が海外M&Aを実施するメリットとデメリットを解説します。

メリット

  • 迅速な海外進出
  • 新規事業の立ち上げコスト削減
  • 許認可の承継

デメリット

  • 現地情報の不足による失敗リスク
  • 統合プロセスの難易度が高い

当社は専属のスタッフが現地に在中しているため現地情報を容易に取得することが可能です。

海外M&Aの注意点

ここでは、日本企業が海外M&Aを実施する際の注意点を紹介します。

国内M&Aにはない懸念点に注意する必要がある

海外M&Aでは、譲渡企業と譲受企業の間で商習慣や文化、言語の違いがあるのはもちろん、物理的な距離も遠くなるため、国内のM&Aより労力やコストが必要となります。また、日本と海外では税制や法制度、会計制度にも違いがあり、デューディリジェンスの範囲や内容も多岐に渡るため、その手続きが複雑になる可能性があります。現地の情報を正確に把握できていないままM&Aを進めてしまうと、M&A成約後にトラブルが発生する可能性もあるため、海外M&Aを実施する際は、事前に現地の情報を収集する必要があります。

M&A成立後のPMIが難しい

海外M&Aに関わらず、M&Aに期待されるメリットの1つとしてシナジー効果(相乗効果)があります。十分なシナジー効果を得られるかは、M&A後の統合プロセス(PMI)が適切に行われるかにかかっているといっても過言ではありません。
しかし、海外M&Aは、譲渡企業と譲受企業で風習や言語などが異なるため、国内のM&AよりPMIが難しくなります。そのため、海外M&Aを検討する場合は、早い段階からPMIを見据えた体制を整えておくことが重要になります。場合によってはトップ自らが前面に出て、時間と労力をかける必要もあるでしょう。

高度な分析力と経営判断が必要

国内のM&Aと同様に、海外M&Aにおいても「自社に適した相手企業」を探すことが重要です。
海外M&Aでは、譲渡企業と譲受企業の物理的な距離が離れている分、国内のM&Aに比べて検討・実行時には高度な分析と経営判断が必要となる他、譲受企業はM&A成立後に高い経営管理能力も求められます。そのため、海外M&Aを検討する際は、海外M&Aに詳しい仲介会社などの専門家にサポートを依頼するのがよいでしょう。

【最新版】海外M&Aの事例

年々増加傾向にある海外M&Aですが、近年でも大企業が海外M&Aを成立させています。
ここでは海外M&Aの事例を紹介します。

積水ハウスによる米M.D.C.ホールディングスの買収

2024年1月、大手住宅メーカーの積水ハウスは戸建住宅事業を手掛ける米国の住宅会社のM.D.C.ホールディングスを米国子会社を通じて約49億ドル(約7200億円)で買収することを発表しました。
積水ハウスはこれまで米西部や南部で事業買収を通じて事業展開を続けてきましたが、今回の買収で米東部への進出が行われます。

サッポロホールディングスによる米ストーンブリューイングの持分取得

2022年6月、サッポロホールディングスは米孫会社Sapporo U.S.Aを通じ、米ストーンブリューイングホールディングス傘下のクラフトビールメーカーであるストーンブリューイングの子会社化を発表しました。
ストーンブリューイングはビール類製造販売事業や酒類卸事業を保有していますが、酒類卸事業を切り離しストーンブリューイングホールディングスの新設子会社に譲渡後、Sapporo U.S.Aがストーンブリューイングの持ち分を取得する予定です。
サッポロホールディングスは、ストーンブリューイングが保有する工場の取得により「サッポロブランド」の成長の後押しやストーンブリューイングのStone IPAといった有力ブランドを獲得することで、北米における酒類事業の更なる拡大を目指すとしています。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントによるバンジー(アメリカ)の買収

2022年2月、ソニーの子会社 ソニー・インタラクティブエンタテインメントはバンジー買収を発表しました。
買収価額は約4100億円となります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2021年だけでゲーム開発会社を5社買収し、PS向けソフト開発を強化していますが、バンジーはその中でも最大規模の買収となります。
本M&Aによりバンジーのゲーム開発や人材採用を強化するほか、ゲームで培った知的財産を様々なエンタメに展開するとしています。

日立製作所によるグローバルロジック社の買収

2021年7月、日立製作所が米国のグローバルロジック社(GlobalLogic社)を96億ドルで買収したことを発表しました。
グローバルロジック社は、世界各地のエンジニアリングセンターやデザインスタジオで働く2万1,000人以上のプロフェッショナルの人材を擁している企業です。
日立製作所は、オペレーションの現場にあるOT(オペレーショナルテクノロジー)のデータと販売などのビジネスデータを融合するIoTプラットフォ-ム「Lumada(ルマーダ)」事業に注力していますが、今回の買収によって「Lumada」事業をグローバルに展開していくことが可能になります。
また、グローバルロジック社が展開するデザインスタジオやソフトウェアエンジニアリングセンターを加えることで、鉄道やエネルギーなどの社会インフラのデジタルトランスフォーメーションが加速することも期待されています。

セブン&アイ・ホールディングスによるマラソン・ペトロリア社の事業買収

2020年8月、セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などを傘下に持つ日本の大手流通持株会社セブン&アイ・ホールディングスは、米国のマラソン・ペトロリア社(MPC 社:Marathon Petroleum Corporation)からコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」を210億ドルで買収することに成功しました。
MPC 社は主に「スピードウェイ」ブランドにて、米国において約 3,900店舗(2019年12月時点)を有しています。
この買収によって7-Eleven, Incは約1万4,000店舗となり、米国の人口の多い50 の都心部のうち 47 の地域に店舗網を有することになりました。

まとめ

海外M&Aは、グローバル市場の開拓や経営コストの削減など、さまざまな目的で実施されます。
日本では、「In-Out型」が増加傾向となっていることからも見てとれるように、海外進出を見据えて海外M&Aを検討する企業が今後も増えると考えられています。
しかし、海外M&Aは国内のM&Aと比べてリスクが高くなる他、より幅広い専門知識が必要となります。
そのため、海外M&Aを検討する際は、海外M&Aの実績が豊富な仲介会社などの専門家に相談・依頼をするのがおすすめです。

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